第3章 現実逃避
目が覚めると、真っ白な天井
一瞬...ここが何処だか分からなかった
気づけば服はキレイに直されていて
乱暴に引きちぎられたシャツは新しいシャツに変わっていた
(もしかて...夢?)
そう思って体を起こした瞬間
下腹部に鈍い痛みが響いた
「...っ」
夢じゃない...
手首の赤い線もこれが現実だと伝えてくるようだった...
目の前が真っ暗になる
(最悪だ...)
ふとある事に気づく
雨宮君の姿が見当たらない
「今のうちに逃げなきゃ...」
立ち上がると全身のだるさに眉を寄せた
足...というか股関節辺りが痛くて、思うように動かない
なんだか、自分の足じゃないみたいだ
怒りのような
悲しみのような
よく分からない感情が胸を締め付ける
嫌だった...
でも、本気で抵抗出来なかった自分にも腹が立つ
どうして...?
別に雨宮君と付き合っているワケでもないし
好きでもないのに...
雨宮君も最低だけど
私も......最低だ
鞄を取りに行こうと扉に近寄った瞬間
扉が開いた
「...っ!」