第11章 絡まった想い[中]
ねえ、雨宮君
あなたはいつから、泣くことを諦めたの...?
未だにぼんやりと見つめながら、彼の手を握る強さを少し緩める
「お前、...まだ酔ってんの?」
彼が困った様に眉を寄せて、そっと私の頬を撫でた
(酔ってる...?)
キョトンと数回瞬きをすると、ふと柔らかく微笑んだ彼にドクンと胸が熱くなる
無償に雨宮君に触れたくなって首に腕を絡ませ彼を引き寄せた
「あゆ!?」
首筋に鼻先をすり寄せてくるあゆに対して恵は困惑していた
自分のせいで深く傷ついたであろう少女が、縋る様にしがみついてくる
胸にあいていた穴が満たされていく様にいっぱいになって
思わず、背中に腕をまわし髪に唇を寄せた
「ねえ、雨宮君...」
でも...何かひっかかる
前とは明らかに態度が違う
俺の事を嫌っていたはずなのに...どうして...
「もう私の事避けなくてもいいよ。独りになろうとしないで...」
会わない間に何があった...?
「玩具とか、そんなのはもう嫌だけど。雨宮君の力になりたいよ」
「お前...自分が何言ってんのか分かってんの?俺はお前を...」
「梨奈さんの、代わりでいいから」