第10章 絡まった想い[上]
「今日はパーティーに来てくれてありがとう。一目見た時から、あなたを絶対に招待したいと思っていたの」
(そうか。霧島さんは私を...)
「あのっ...。先生...奈々さんから聞きました。梨奈さんの事」
「....っ」
霧島さんの表情が一瞬強張った
「霧島さんと梨奈さんの関係、それと...雨宮君たちとの事も。皆さん、とても大変だったんですね...」
静まり返る室内に時計の秒針の音だけが響いていた
(もしかして、辛い事思い出させちゃったかな...)
「私...梨奈さんと似てるっていっても中身は全然似てないと思います...。梨奈さんみたいにはなれないかもしれないですけど...。仲良く、してくれませんか?」
こんな事言ったら怒られるかな...
だって、私は梨奈さんじゃない
「......」
静寂、という言葉が今の空間に一番合うだろう
やはりダメなのか... 返事がない
(言わなきゃよかったかな...)
ドレスのスカートを握って俯くと前からクスッと笑い声が聞こえた
「そうね...なら、霧島さんじゃなくて名前で呼んで?あゆ」
「...っはい!」
璃央ちゃんの笑顔で緊張していた心が溶かされたようにあったかくなった