第10章 絡まった想い[上]
先生の最後の言葉で、全て繋がった
雨宮君が私をあんな風に縛ったのも
武本君が助けてくれたのも
霧島さんが話したこともない私に花を送ってきたのも
全部...私に梨奈さんを重ねているから...
雨宮君が私を乱暴に抱いたのも家族からの愛情を受けずに育って...
梨奈さんを失った事から更に歪んでしまった心のせい
私に梨奈さんを重ねて、縛り付ける事しか出来なかったんだ...
(雨宮君が見ていたのは、私じゃない...)
その時、ツキンと胸に小さな痛みが走った
「......」
「椎田さん...?」
黙り込んだ私を見て先生は不安げな声を出した
「ごめんなさい...。妹に似てるなんて言われても困るわよね...」
「全然!...梨奈さんみたいな素敵な人間ではないですけど、私でよかったら...妹みたいに思ってください」
そう微笑んだ私に先生は瞳を潤ませると私を優しく抱きしめた
「ありがとう、あゆちゃん...」