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恋愛玩具

第9章 乱されるココロ



太陽に照りつけられるテニスコート
コートを蹴る靴の音と地面を打つボールの音

足元に転がってきたボールを拾い上げた

「あゆ~、こっち投げて~!」

そう言って手を振る相手へとボールを投げると自分の作業を再開した

夏休みに入って数日
怪我もだいぶ良くなった私は、今日は女子テニス部のマネージャーとして手伝いに来ていた

「ふぅ...、あっつー...」

大量のタオルが入ったカゴを抱えて、校庭の隅にある大きな水道へとやってきた
以前、汚れた靴を洗っていて...水をかけられた場所

自然と辺りに誰もいないか確認している自分に気づくと溜息をついた

もうイジメは無いけど、やっぱり完璧安心は出来てない...

蛇口を捻って水を出すとタオルを一枚一枚洗っていく

洗濯機くらい買ってくれてもいいのに...
ケチな学校だ

(あ...、そういう申請って生徒会に出さなきゃいけないんだっけ...?)

「......」

タオルを洗う手が止まる
雨宮君の顔が浮かんで、頭を振って彼の顔をかき消した

でも、本当はそんなに嫌悪感を感じることは無くなった
周りの皆は私に気を遣って雨宮君の話題を出さないままだけど...

(そういえば...保健室で会ったあの日から見てないかも...)

終業式の日、教室にいなかった
なんでだろう...

眉を寄せ自分の額に触れた瞬間

「椎田?」

突然呼ばれた声に肩を跳ね上げると、声がした方へと振り返った

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