第8章 癒えない傷
(え...?)
ぱちくりと目を瞬かせると、彼女から笑顔は消え教室へと入って行った
(なに?今の...)
彼女が廊下からいなくなった途端、囲んでいた生徒たちが一斉に散らばった
「あゆ、一緒に帰ろ~」
理花に肩を叩かれて思わずビクッと大きく肩を揺らす
「あゆ?」
「う...うん。帰ろっか」
小さく頷く私を見て理花は微笑むと鞄を取りに自分の席へと向かった
(私...あの子と初対面、だよね?)
微笑んだように見えたのは、そう見えただけだったのだろうか...
先ほどの光景を思い返し眉を寄せた
「あゆーっ、早くー!」
「あっ...ごめん!今行くっ!」
そうだ、明日から夏休み
深く考えて悩むのは、もうやめよう
私は鞄を持って理花たちの所へ駆け寄った