第7章 ちぎれた鎖
(え...?何の音?)
雨宮君を見上げると彼の手には液晶がひび割れた携帯が握られていた
「...っ、それ!」
「あの画像はもう消えた」
「えっ...?」
(あの画像って、あの時の...)
「これで、俺との繋がりは無くなったから...」
微笑む雨宮君の言葉に目を見開いた
(なんで?なんで雨宮君の方から...?)
彼の方から玩具を解放されるなんて思ってもなかった
呆然としている私を見て雨宮君は苦笑し頬をつねってくる
「い...いだい...」
「なんて顔してんだよ。やっと、嫌な事全てから解放されるんだぜ?」
そう言って眉尻を下げた彼は私の顔を覗き込んできた
「だ...だって、まさか雨宮君からそんな事...」
予想もしていなかった展開に戸惑っていると、私の頬をつねっていた手がそっと頬を撫でる
「...っ」
雨宮君の指先が、熱い
目を見ていられなくて視線を逸らしてしまう
「俺...」
言いかけて止まった彼の声に顔を上げた
悲しそうに見下ろしてくる瞳に胸がキュッと締め付けられる
なんだろ...
なんだか、胸が苦しい...
「雨宮君...?」
目を瞬かせた私に彼は目を細めて微笑した
頬を撫でていた手が後頭部へと移動すると、額に優しく口付けられる
「...今まで、ごめん」
囁かれた低く掠れた声
私の額からゆっくりと唇が離れて、彼の表情を見ることが出来ないまま背を向けられた
雨宮君との距離が離れていくにつれて鼓動が速くなっていく
「体良くなるまでゆっくり休めよ」
そう言って雨宮君はカーテンを開けて出て行くと、すぐに保健室の扉が閉まる音が聞こえた