第2章 転落
ドサッ…………!
そんな音を立てて私は空中から地面へ落ちる。
落ちた、と思ったんだけど……。
「っ…………大丈夫、ですか?」
丁度、真下に居た青年に助けられた様だった。
「だ、いじょうぶです」
そう言って、青年の顔をジッと見る。
失礼かとも思ったんだけど、目についてしまったんだ。
左側の顔を覆う火傷に。そして、見慣れない風貌に。
「それなら良かったです。…………あの、俺の顔に何かついてますか?」
ジッと見つめていたせいかそう問われる。
そこでようやく、お礼を言ってなかった事と、体制に気づき視線を逸らした。
「す、すみません。何でも無いです、後、その降ろしてもらってもいいですか……?」
遠慮がちにそう言うと、青年も思い当たる所があったのか、「そ、そうですね!」と慌てた様子で直ぐに降ろしてくれた。
ようやく地面に足がついてホッとしつつ、受け止めてくれたことに対してお礼を言うため、向き直る。
「あの、受け止めて下さって有難うございます」
そう言って、一礼する。
すると、青年は「いえ、当然の事をしただけですから」と言って、あまり気にはしてないようだった。
それを聞いてから改めて周囲を見渡す。
が、やはり改めて見てみても先程と同じ様な感想しかでてこない。
私はどうなったんだろう?
考えてみても答えは出ず、モヤモヤとした感覚が続いた。
沈黙が場を満たし空気がどんよりとし始めた頃。
「あの! 貴女はどうして空から……? それに見慣れぬ格好をしていますし」
やや不審なものを見るような視線で先程助けてくれた青年は聞いてくる。
まぁ、もっともな意見なんだけど……。
「それは私にも分からないというか……」
曖昧な言葉でしか反応しない私に不信感が強まったのか。
「付いて来て下さい」
そう言って、グイッと腕を引っ張られる。
どこに連れてくんだろう?
僅かな不安もあったけど、このまま何も分からないままよりかはいい。
そう結論づけて、大人しく腕を引かれるがままに付いて行くことにした。