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白龍皇子の従者は薙刀トリップ少女

第5章 迷宮・ザガン


重くなる体に遠のく光。
もう駄目だなんて諦めて、意識を失った私だったけど……。

意識の奥深くまで、確かに聞こえた私を呼ぶ声。
あたたかな温もり、そして――

「……」

ゆらゆらとまどろむ様な感覚から私が目覚めたのは、海面に落ちてから数刻が過ぎた後だった。
私……生きてる? 視界に映る天井と、体を包むタオルの感触が生きている事を実感させる。
だけど、どういう訳か体がズシリと重く、まだ動けそうにない。

それに、口の中しょっぱいし……。
仕方なく視線だけを室内に向けて――息を呑んだ。

ベットのすぐ隣、私の膝元で白龍さんが眠っていたのだ。
何で……驚きで体がビクッと上擦ってしまう。
嫌われたと、そう思っていたのに。目覚めるまで傍に居てくれたのかと思うと胸がキュッと熱くなった。

硬直したまま白龍さんを見つめていると、一度身動ぎした後、白龍さんは目を覚まして。
そのまま視線が重なった。

何も言えずに視線を逸らした瞬間――――

「よかった、無事で本当に……瑠花がいなくなったら俺は!!」

勢い良く抱き締められていた。
突然の事で驚いて離れようとしたけど……白龍さんの体が小刻みに震えているのに気がついて、凄く心配させたのだとようやく気づいた。

「ごめんなさい……」

もっと言いたかった事はあるはずなのに、それしか言葉が出てこなくて。
白龍さんが落ち着くまでされるがままになっていた。

――――
――

それから暫くして、ようやく落ち着きを取り戻した白龍さんと今は向かい合って座っていた。

「取り乱して、すみません……」

そう言って落ち込んでいる白龍さんに、私はただ「心配してくれて有難う」と伝えた。
そんなやり取りを終えて、今は他の皆の居る所へ来ていた。

「お、もう大丈夫なのか?」
「皆さんでとても心配していたんです」

最初に声を掛けてくれたのは、アリババさんとモルジアナさんだ。
そして、胸元に飛び込んでいるのは……

「そうなんだ! ボクも凄く心配していたんだよ、お姉さんの事!」

アラジン君だ、最初、《マギ》と言うのが名前だと思っていてアリババさん達に笑われたのを思い出す。

「心配をかけてすみません、もう大丈夫です」

言って笑って見せると、皆も笑って見せてくれた。
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