第5章 迷宮・ザガン
迷宮に行くメンバーが決まってすぐ、私達は準備に取り掛かり今はもう船の中で。
ゆらゆらと揺れる水面を見ながら白龍さんのことを考えていた。
着いて来たの怒ってるよね?
それとも嫌われてしまっただろうか……。
どっちにしても無理やりついて来たようなものだし。
「悪いのは私、なんだよね……」
分かりきった事だったけど、どんよりと空気が重くなるような感覚が体を包む。
私はこの世界の事全然知らないし、きっとアリババさん達からしたって足手まといのはずだ。
「どこに行っても私……」
弱いんだね、そう自嘲気味に呟いた時、何かが船にた当たるような衝撃がして体がグラリと傾いた。
「ひゃ……」
何とか船の手擦りに掴まるも、体半分は既に海の方へ投げ出されていて。
っ、怖い。恐怖で体が震えた、私は――泳げないのだ。
それに海面は底が知れないし船から落ちたら高さもある。ギュッと手擦りを持つ手に力を入れたけど……それが裏目に出てしまった。
ミシッ……
軋む様な嫌な音を立てて、亀裂が入っていたらしい手擦りが呆気なく折れる。
折れてしまえば体を支えてくれるものは何もなくなるわけで……助けを求める間もなく私は海面に落ちていった。
私……このまま死ぬのかな?
そうならちゃんと、白龍さんに謝りたかった、な。
それで仲直りして……
どんどん意識は遠のいて、眠りに落ちる瞬間まで私は白龍さんのことを思い浮かべていた。