【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第11章 そんな君を
1セット目の途中、菅原が交代出場となった。
高城にも、烏野のピンチだということは分かった。
「……こうちゃん!」
汗でびっしょりになった拳を握り締めて、立花は小さな声を出した。
それを聞いた滝ノ上がまた怒り出す。
「だーかーら!それじゃ聞こえねーっつの!応援するなら、もっとおっきな声で!!」
「は、はい……。」
「まあまあ、そんなに熱くなるなよ。」
嶋田がなだめに入る。
立花は朝の菅原の笑顔を思い出した。
(こうちゃんなら大丈夫、絶対大丈夫!)
滝ノ上が高城に詰め寄る。
「おい、お前あの2番の友達なんだろ。
だったら、今日一番の声出してみろ。
いいか、息を吸ってー……」
滝ノ上の声につられて、立花はすうっと息を吸う。腹いっぱいに、限界まで。
「よし、ばかでっかい声で、いけ!」
息を吸いきったタイミングで、滝ノ上がポンっと立花の頭を叩く。
「こうちゃーーーーん!!」
そばにいた道宮も嶋田もびっくりして立花を見る。
そしてどうやら、コートの中までその声は届いたようだ。
メンバーと話をしていた菅原が、こっちを見た。
立花と目が合う。
笑顔で手を振ってくれる。
立花も飛び跳ねながら手を振る。
「大丈夫!」
二人で同時に心の中でつぶやいたように感じた。