【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第9章 小さなきっかけと大きな変化
「あれが噂の立花美和先輩?なんで日向たちと知り合いなのさ」
月島がどうでもよさそうに、でも少し気になる様子で山口に聞く。
「ここ数日、勉強教わってたみたいだよ。あの二人が追試通ったら立花先輩のおかげだね。」
「ふーん。」
月島は興味をなくしたのかそのまま会話を切り上げた。
「びっくりしたよ。まさかみーが来るなんて。あの二人のペースに巻き込まれたんだべ?」
菅原が汗を拭きながら立花のそばに寄ってくる。
「うん。まさにそんなかんじ。ごめん、邪魔しないように気を付けるから。」
「流れ弾だけ気を付けてな。お前どんくさいから。あ、清水ー!ちょっとこっち来て。」
清水がやってくる。
「マネージャーの清水な。なんか聞きたいことあったらこいつに聞いて。
で、こっちは絶賛不登校中の立花美和。こいつ友達いないからさ、清水、仲良くしてやってくれると助かる。」
ぽんっと二人の肩をたたいて菅原は練習に戻って行った。
「よろしく。」
「こ、こちらこそ!何かお手伝いすることとかあれば……。」
「特にないから。」
冷たく答えられて、少ししゅんとするが、清水は続けて言った。
「でも、あなたに見てもらいたい人、いるみたいよ。しっかり見てあげたら。」
「え?」
清水の視線の先にはこっちに向かって手を振る日向がいた。
「立花せんぱーい!見ててくださいね!!」
そう言って、びゅんっと飛び上がって、力強くスパイクを打って見せた。
「すごい……。あんなに飛べるんだ。」
満面の笑顔を向ける日向を、田中がどついた。
「女子が見てるからって調子乗ってんじゃねー!次俺だ!俺にも打たせろ!」
さわがしくも、仲のいい様子に立花も笑顔がこぼれる。