第4章 嫉妬は甘い蜜?
2人並んで廊下を歩くけど、沈黙が重い。
「あ、ああ阿伏兎?」
「なんだ」
「さっきのは事故だから!神威起こそうとしたら勝手に」
「別に怒ってねえよ?」
そう言うと私の頭をくしゃっと撫でてまた仕事へと戻っていった。
怒ってないならいいけど……。
「んあ〜〜疲れた!!!!」
自分の部屋で溜まった書類や交渉相手の情報などに目を通し続けて数時間。
やっと片付いた。
肩は凝るし目は疲れるし……最近身体を酷使しすぎな気がする。
たまにはだらけたって良いよね、そう思い結んでいた髪の毛をほどいてベッドにダイブする。
あ〜やばい、寝そう……
トントン
「……あ、神威?書類ありがと」
扉を開け入ってきたのは神威ーーーーーー、じゃなくて阿伏兎。
「阿伏兎!?」
よう、と言いながら阿伏兎はベッドに寝転がる私の隣に腰掛ける。
「……」
そして起き上がろうとした私の手を押さえつけ、そのまま阿伏兎が私の上に乗っかった。
頭の後ろに壁が当たる。
阿伏兎の息が顔にかかり、くすぐったい。
「阿伏兎……?」
急に軽いキスをされる。
「悪いな、怒ってねえよ。……だけど、俺だって嫉妬くらいするぜ」
いつになく低いトーンの声に鳥肌が立つ。
「おじさんの嫉妬なんざ醜いかもしれねえが、それくらいお前のことが好きなんだ」
頬をなぞる手に温かさを感じる。