第4章 嫉妬は甘い蜜?
「阿伏兎、神威知らない?」
「あー……さっき部屋に戻ってったぞ」
うろちょろしやがってあのアホ毛……!!
あの見た目通り頼りにならないクソ団長のおかげで、副団長の私と阿伏兎は毎日のように忙しい。
役割り分担をするならアホ毛が戦闘、阿伏兎は戦闘ももちろんだけど書類整理とかの事務仕事が多い。ほとんど神威の始末書だけれど。
で、私は主に交渉や通信。アホ毛は論外だし、阿伏兎はそういうのに向いてない。
だけどいくら私に一任されてるといっても、団長の許可や承諾は必要だ。
それでこうやって今も船内を駆けずり回っているわけだけど。
「神威ー、入るよ」
ドアを開け中に入ると神威の姿は無く、代わりにベッドの上に何かがいる。
何かが。
「……てめ、このクソ忙しいときにぐーすか寝てんじゃねェェェェェェ!!!アホ毛引っこ抜くぞ!!」
勢いよく布団を剥ぐと案の定オレンジの髪の毛が見える。
「ん……?おはよ」
「おはよ!とでも言うと思ったかクソ提督!!!今すぐ起きろ!!!」
ペシッと頭を叩く。いい加減仕事してもらわないと困るんだよ……!!
「……のくせに生意気だなあ」
ぐいっ、そのまま手を引かれ私もベッドに倒れこむと神威の鼻が当たるくらい目の前にある。
「……殺しちゃうぞ?」