第3章 噂と真逆の彼
「あの……葉月くん、良かったら一緒に帰らない?」
「別に……構わない」
「そっか! じゃあ、一緒に帰ろ」
「あぁ」
――はばたき学園での新学期がスタートして、数日。
担任の先生は名前の通り氷のように冷徹だと評判の氷室(ひむろ)先生だったり。
入学式の日に出会った有沢(ありさわ)さんは真面目そうな印象だったけれど、なんだか仲良くなれそうな気がする。
そして、この葉月くん。
彼は全てにおいてパーフェクトで更にはモデルで有名だと有沢さんから聞いて、納得した。
だからあの時、妙な既視感を覚えたのだと。
「葉月くん……この前はごめんね」
「何がだ?」
「あ、えっと……その、あの時は思わず隠しちゃったんだけど。葉月くんが電話で言ってた小学生って、うちの弟なの」
「……あぁ」