第2章 出会い、再会。
「……あれ? でも……」
確かさっき『俺も一年』って言ってたよね?
だったら、彼も私と同じ新入生のはず……。
「俺は……ここで入学式」
「……へ?」
ここでって……。
どう入学式をするのかと尋ねようとして口を開きかけたが、彼は既に私から興味を失せたように視線を逸らしている。
これじゃ聞こうにも聞けないや。
「早く行った方がいい」
声に急かされるようにして、今度こそ足を踏み出す。
「あ、うん。それじゃあ、えっと……」
「葉月 珪」
「ありがとう! 葉月くん」
助け起こしてくれたお礼をようやく言えたところで、今度こそ踵を返す。
葉月くん、か。
ん? あれ?
どこかで聞いたことがあるような……。
「……そんな、まさかね。気のせい気のせい」
あんな見目麗しい知り合いが居たら、忘れるはずなんてないと思うし。
「うん! わたしの高校生活、いいことありそう!!」
手のひらを翳した隙間からは、眩しい程に照りつく太陽。
透き通るような冴えざえとした青空。
目に見える何もかもが鮮やかに映り、これから始まる新しい生活に私はワクワクしていた。
――この時、あの約束の“彼”と再会していた事も知らず。
「伊瀬 桜……変わってないな」