第7章 マジカルブレイク
ーー・・・・・・♪
幻想的、って言うのかな。
青年に連れられて中庭で披露される歌。
とてもまっすぐで、とても楽しそうで・・・。
それはとても気持ちが込められた歌だった。
日本語じゃなかったけど、たくさんの感謝が詰まったいい歌。
「・・・・・・これが、ワタシの気持ち。
・・・伝わりましたか?」
『・・・す、ご・・・。
・・・うん、伝わったよ。青年は凄い素直なんだね・・・歌も、とっても上手だよ』
「・・・!
コノハに褒められると、ワタシも嬉しい・・・。
・・・コノハの歌、歌ってみたいです」
『え、私の?』
「イエス。
ワタシ、コノハの歌・・・歌いたい。
・・・コノハが、ワタシに作ってくれた歌を」
あ、本気だ。
青年が私の目を見つめてくる。
多分本当に心からそう思って望んでくれてるんだろうな。・・・なんだか恥ずかしい反面、嬉しいな。
『あー、作ってあげたいのも山々なんだけど・・・私他に作ってあげなきゃいけない人達居るから・・・』
「・・・知っています。
仮パートナー、ですね?」
『あ、知ってた?』
「猫になってる間・・・男子生徒の何人かが、楽しそうに口ずさんでいるのを見かけました。
あの歌のメロディーは、一人一人違うけれど・・・アナタが作った歌だとすぐに解りました」
『えっ、そんな解りやすかった?』
「イエス。
貴女の作る歌に・・・音楽の神、ミューズに近しいものを感じます。一つ一つのメロディーが、互いに支え合いながら・・・楽しそうに奏でている」
また出たよミューズ。
音楽の神様だったのか・・・。
なんか早乙女学園長もミューズがどうこう言ってたよね。
『ほ、褒めてくれてどうも。
・・・でも、そう言う訳だから青年に作ってあげられないんだよね』
「・・・ノン。
大丈夫、ワタシもアナタの仮パートナーになります」
・・・・・・・・・・・・・・・(間)・・・・・・・・・ん?
え、ちょっと待って。
今なんて言ったこの青年。
私の?
仮パートナーに?
なる?
え、え・・・?
プチパニックになり始めた私の手をそっと握って、青年はニコッと微笑んで歩き始めた。・・・・・・学園長室に向かって。