第7章 マジカルブレイク
「コノハ、コノハっ。
このメロンパン、とても美味しい!」
『あ、うんそれ美味しいよね。
ここのイチオシ商品だし。はい、ホットミルク』
「ホットミルク・・・!
コノハがくれるホットミルクも、もっと美味しい。
いつもワタシに丁度いい温度でくれる・・・。アリガトウ」
『ん、どういたしましてー』
7月中旬。
地理的な環境もあって、早乙女学園には夏の気配が近づいていた。
まだ蒸し暑かったりはしないけど、最近暑くなってきた。
そんな今日この頃、私はいつぞやの青年とのんびりしていた。
ほら、あの・・・リアルな夢。開口一番に私にロード呼びして来た。
『・・・にしても、あのにゃんこ何処行ったんだろ』
「・・・にゃんこ、ですか?」
『うん。黒猫で目が緑の』
「コノハ」
『ん?』
「・・・そのにゃんこは、ワタシだと言えば信じてくれますか」
『・・・・・・ん?』
いきなりどうした青年や。
持ってた食べかけのメロンパンをテーブルの上の皿に置き、青年はジ・・・と私の目を見てくる。わー、綺麗な瞳。
・・・って、青年の目・・・。
『・・・・・・え、本当に?』
「・・・イエス。
にゃんこは、ワタシです」
『・・・でも、人間・・・だよね?』
「・・・呪い、かけられてました」
『呪いって・・・まさか猫になる?』
「イエス」
『・・・えー・・・』
「でも、コノハが呪いを消してくれた。
ワタシはコノハにとても感謝している、アリガトウ」
『えー・・・あー、どういたしまして?』
悲しきかな、一ノ瀬くんの一件からよっぽどの事じゃないと驚かなくなった。
あれだ、人間が分裂しようと猫が人間になろうとドンと来いだ。・・・さよなら私の常識(遠い目)
「だから、ワタシはコノハに恩返ししたい」
『恩返しって・・・』
「コノハはワタシの命の恩人・・・お風呂にも入れてくれた、ハダカの付き合い」
『うん、後者は明らかに違うよね』
「でも・・・ワタシは何もコノハに返せない。
・・・コノハは、音楽が好き。だから、ワタシの音楽が恩返し」
私の頭に、ある言葉が浮かんだ。
・・・あ、これが猫の恩返し(リアル)か。