第6章 アドミッション
・・・と、言う訳で。
冗談半分で言った私の言葉は本当にそうなった。
マジで早乙女学園長、別人格を確立だか分裂だかさせる薬持ってたよ。
「は、・・・HAYATO・・・様、」
「うん、おはやっほー!」
「ほ、ほほほ・・・本物・・・ですか?」
「・・・本物ですよ。
先程も説明した通り・・・私自身が作り出したHAYATOでもありますが」
『ははは・・・まさか本当に存在させちゃうなんて、いよいよ早乙女学園長の存在が人間の域を越え始めたね』
「それにしても、ビックリだよね。
まさかトキヤがHAYATOだったなんてさ」
「今までバイトで忙しいって言っていたのはHAYATOのお仕事だったんですね〜」
「納得っつーか、なんつーか・・・」
かの大人気アイドルHAYATOが普通に早乙女学園に現れたら大変だから、と言う訳で。
現在私達仮パートナー組7人と女子友2人、そしてHAYATO1人は講堂に居た。此処なら誰も来ないだろうって早乙女学園長が開けてくれた。
・・・みんなを呼んだのは、一ノ瀬くんがみんなに打ち明けたいって言ったから。
てっきり怒られるかと思ってたけど、一ノ瀬くんの表情を見てみんな「良かったね」って言ってくれた。
「と、言う訳で・・・今日から正式にトキヤのお兄ちゃんになった、一ノ瀬ハヤトです!
みんなこれからよろしくにゃぁ!」
「・・・あ、ああ・・・こちらこそ宜しく。
しかし一ノ瀬、親御さんにはなんと伝えたんだ?」
「電話してみたら普通に喜ばれました。
息子が一人増えた、と。・・・まったく、悩んでいた自分がバカバカしく思えてきますね」
「あはは、でもなんだか今の一ノ瀬さん楽しそうよ?」
「・・・うん、いい表情をしているよ。
レディ、一体どうやってイッチーを説得したんだい?」
『どうやってって・・・、そこはヒミツで』
「そうだにゃー!
あれは、ボクとトキヤと心羽ちゃんのヒミツだにゃー!」
「・・・そうですね、秘密です」
その日、私はようやっと一ノ瀬くんの〝笑顔〟を見れた気がした。