第5章 スマホアプリ
自分らしさ、なんて解んない。
──完璧な生き方なんて出来ないから
完璧な生き方なんてしたくないから
不器用な僕は不器用なままで──
とにかく私の一番歌いやすい曲を歌った。
──"やりたいことだけ選んで、要らないもの切り捨てて"
誰もが皆そんな風に歩けるわけ…無いよね──
『・・・以上、聞いてくれた人・・・ありがとうございました』
マイクの電源を切る。
どう伝わったかは解らないけど、これが私の歌。
マイクから離れて後ろを振り向くと、月宮先生がにこっと笑って頭をぽんぽんしてくれた。
「お疲れ様。
気分はどう?」
『やっぱり、歌うのっていいです。
スッキリするって言うか・・・今生きてるって感じがします』
「お前、本当に楽しそうに歌ってるもんな。
・・・っと、課題曲についてだが文句ナシに合格だな」
『わーい、やったね』
「・・・ねえ、このちゃん?」
『はい?
なんでしょうか、月宮先生』
「私、タイミングよくハサミ持って来てるんだけど・・・」
『・・・はい?』
いきなりどうした月宮先生。
でも持って来てるのは本当みたいで。
シャキーンと効果音つきで月宮先生はピンクのハサミを取り出した。
・・・え、なにこわい。
「ふふふ、どうしてだと思う〜?」
『えーと、何かを切るか何かに突き刺すかのどちらかだと・・・』
「明らかに前者だろ・・・。
・・・てか、本当にやるのか林檎」
「あったり前じゃない!
女の子はお洒落して綺麗になったり可愛くなったりする権利があるのよっ」
『ちょっと待って話に追いつけないんですけど。
て、なんで月宮先生近づいて・・・』
「・・・うふっ♡」
・・・ぎゃああああああ・・・!
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(No Logic/ジミーサムP)