第5章 スマホアプリ
『・・・財閥?』
「あんた、本当に何も知らないのね・・・」
「聖川様は聖川財閥の嫡男で、神宮寺さんは神宮寺財閥の三男なんですよ」
『へえー』
「へえ、って・・・それだけ?
もっとこう、えっそうだったの!?みたいなリアクション無いの?」
『そう言われても・・・。
てか、ちゃくなんってなに?』
6月。
仮パートナーの6人とやってる課題曲も順調に出来上がり始めていた。
まあ曜日ごとって言っても、廊下ですれ違った時とかに課題曲について軽く喋ってたりしてたから思いのほか仕上がっている。・・・と、言うかあれだ。
曜日無関係に月曜日に割り振ってた一ノ瀬くんと打ち合わせしてる時に「心羽、俺ここをこう歌いたいんだけどいい?」って一十木くんがドーンと突入して来たり、 金曜日に割り振ってた来栖くんと打ち合わせしてる時に「心羽ちゃ〜んっ、聞いてくださいっ」と四ノ宮くんがバーンと突撃して来たり・・・まあ、そんな感じだ。
そして現在。
歌い手でも作曲家でもある私にちょこちょこ相談している内に仲良くなった七海さんと、その友達の渋谷さんとお喋りしていた。
男子達は日向先生と月宮先生に力仕事を頼まれたらしく不在。
で、なんで七海さんが聖川くんの事を様付けで呼んでるのか気になって聞いてみたら・・・聖川くんが財閥の嫡男だと判明。うん、ちゃくなんってなに?
更に神宮寺くんまでもが財閥の三男なんだとか。あ、さすがに三男は解るよ。
「長男と同じ意味ですよ」
『あ、なるほ。・・・財閥ねぇ。
まああの2人、気品って言うか気品って言うか・・・気品とかあるもんね』
「気品しか出てないわよー?
・・・そうね、この際だから聞いちゃうけどさ。心羽ってマサやんと神宮寺さんの事どう思ってるの?」
おっと出ましたここにきてまさかのガールズトーク。
女子が集まると自動的にガールズトークに発展するって本当だったのか。
・・・どう思ってる、ねえ。
渋谷さんにそう聞かれて、私は考えてみた。