第16章 フィーリング
side セシル
『セシル』
「はい、なんですか。コノハ」
『デートに行ってくるよ』
「でーと、?」
『うん。
今日一日学校休むけど、出し物何にするか決まったら教えてね』
「イエス、解りました」
そんな会話をしたのが今朝方。
でーとと言うのが何を意味するのか解らなかったですが、コノハは『行って来まーす』と言って出掛けて行きました。
ああ、マイプリンセス・・・。
苗字で呼ばれていた時より、名前で呼ばれるととても嬉しいです。
「そう言えば・・・でーと、とはどこですか?」
そして学園祭の出し物を決めた後、ワタシは同じ仮パートナーの皆さんに聞いてみました。
意外だったのか、皆さんに目を丸くされてしまいました。
どこでその言葉を聞いたのかと問われ、今朝ワタシがコノハから言われた事を伝える。すると何やら皆さんが慌て始めました。
・・・どうしたのでしょう?
「ちょ、っと・・・!
それって心羽が誰か好きな人とデートに行ったって事!?」
「すき・・・?
・・・・・・・・・What!?
コノハは、スキな人が居るのですか?」
「考えにくいけど・・・そう言う意味でのデートなら、エレは好きな相手が居る事になるね」
「大胆ねあの子ってば・・・」
トモチカが感心したように呟く。
そんな・・・。
「・・・・・・レン、聖川さん」
「・・・言われなくとも解っているよ、イッチー」
「ああ・・・、こうなっては致し方ない」
トキヤがレンとマサトの名前を呼ぶと、2人はお互いに目を合わせて同時にスマートフォンを取り出しました。
一体何を・・・と思っていると、どこかに電話をかけているようです。
「・・・ジョージか。
今すぐに調べて欲しい事があるんだけど・・・」
「じい、大至急調べて貰いたい事があるのだが・・・」
「「(エレ/心羽)の居場所を突き止めてくれ(るか/ないか)?」」
綺麗に声が重なる2人。
ワオ、息ピッタリです!
これはテレビで見た事があります。
緊急事態になって、鍵となる人物を探す手段だったはずです。
と言う事は、コノハの緊急事態なのですね・・・!