第15章 プロミス
side 嶺二
ぼくを追っかけの子達から助けてくれた女の子が、録音ブースに入って行く。
・・・まあ、変装してるぼくを見たり喋ったり普通に接してくれて助かるんだけど。なんか、ちょっとはほっぺた赤くしてくれたりしないのかなーとか思っちゃったんだけどね。
どんな歌を歌うのかなー、と思ってるとポケットに入れてたスマホが震える。取り出して画面を見れば、アイアイからのLINKメッセージが届いていた。
・・・あちゃー、もうすぐ出番だから速く来い・・・か。
あっ、でもここレコ室だし走れば講堂まですぐだし・・・女の子の歌を聞いてからでも間に合うよね!
未来の後輩アイドルちゃんの歌を聞いたらすぐ行くよ〜ん★
そうメッセージを送ろうとした時だった。
「・・・、・・・・・・・・・っ・・・?!」
不意に聞こえてきた歌声に、ぼくは弾かれたように顔を上げて録音ブースを見た。
・・・これって。この声って・・・!
数ヶ月前にフラッとテレビ出演をして、それっきり姿を現さなくなった女の子。
LINKでメッセージのやり取りをしてて、よく曲を投稿してる。
ポップだけどどこかレトロな曲調を、ぼくがリクエストしたら歌ってくれたのは記憶に新しい。
ぼく達4人が1番会いたかった子。
Gray∞Note。
「・・・・・・間違いない・・・っ。
あの子・・・・・・・・・グレーちゃんだ・・・!」
今すぐにでも彼女に駆け寄りたかったけど、何よりもグレーちゃんの生歌を聞けてる事が嬉しくてぐっと堪えた。
──またたく星をよけ 探してた
──神話は 誰の味方なの?
透明な歌声に、所々のハープの音が互いに支え合ってるように響いてる。
・・・うん、やっぱり聞けば聞くほどグレーちゃんだ。
~♪・・・・・・
ガチャ
『ふぅ〜・・・。
・・・あ。なんかすみません、本職がアイドルの人を手前に歌うの優先しちゃって』
「・・・ううん、とんでもない!
寧ろラッキーだよ、素敵な歌を聞かせてもらったんだから♪」
『?
だったらいいですけど・・・』
♪~
『、っと・・・あ、友達から連絡きたみたいです』
そう言うと女の子はぼくに断ってから電話に出て、友達に呼び出されたみたいでレコ室から出てぼくにぺこっとお辞儀をして行った。
(SPiCa/とくP)