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シャングリラ  【サイコパスR18】

第12章 曇天


「俺は、そうやってイイ反応してくれる悠里ちゃんが、嬉しいよ。」
 言いながら、秀星くんはさっきのワイングラスに、手酌でお酒?を注ぎ始めた。
「……?それ、もしかして、お酒?」
「そ。白ワイン。」
「見てもいい?」
 秀星くんから、ずしりと重いボトルを受け取った。透明な瓶に、微かに黄色っぽく色づいた液体が入っている。そっと匂いを嗅いでみると、何とも言えないツンとした匂いと、フルーツのような匂いがした。私がボトルに気を取られている間に、秀星くんは、白ワインをくいっと一気に飲み干した。
「―――っく、ぷは~!美味い!」
「それ、そんなにおいしいの?」
 本物のお酒なんて、間近で見ることは無いから、珍しい。
「そりゃあもう、天然食材で作ったつまみと、とっつぁんから貰った酒があれば、もう最高に幸せな気分になれるって!」
 心底嬉しそうに語る秀星くん。何か、そこまで言われると、ちょっとだけでも、味見したくなってくる。飲酒はメンタルに悪影響らしいけど、ここで我慢する方が、メンタルに悪影響な気もしたから。
「ね、ちょっとだけでいいから、私も飲んでみたい。このコップに、2,3センチでいいから、頂戴?」
少しの好奇心で、秀星くんにお願いしてみる。
「そのコップじゃ、趣(おもむき)ってモンが足りないでしょ、悠里ちゃん。飲酒っていうのは、風情も大切なんだよ。今、ワイングラス持ってくるから、待ってて。」
 秀星くんは、ワイングラスを出してくれて、そこに3分の1ぐらい、ワインを注いでくれた。ワイングラスに注がれたワインは、室内を彩る照明の光を映して、キラキラ輝いていた。
「わ……!綺麗……!」
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