第10章 天然
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午前の仕事が長引いたこともあって、いつもよりも遅くにずれ込んだお昼休み。急いでランチをかき込んで、秀星くんにメールを打った。今朝知ったばかりの連絡先を、こうも早く使うことになる不思議。もしかしたら、もう秀星くんは勤務中かもしれない。迷惑にならないことを祈りつつ、端末を操作する。
『秀星くんへ
仕事中だったらごめんなさい。
今朝は、朝ご飯ごちそうさまでした。片付けもしないで出て行って、それもごめんなさい。
実は今日、天然モノのチョコレートが手に入りました。チョコレートは好きかな?
もし興味があったら、返信ください。』
端末に送信の指示を出してから、オフィスへと戻った。
定時に端末を確認すると、秀星くんからの返信が来ていた。
『悠里ちゃんへ
天然モノのチョコレートくれんの!?スッゲー楽しみ!
でも、俺今日は仕事終わんの遅いから、明日でもいい?
明日は、何もなければ遅くならない予定。
心配しなくても、常温保存できるチョコレートなら、天然モノでもすぐには傷まないよ。
日の当たらない、湿度の高すぎない場所ならOK。
明日楽しみにしてんね!こっちからまた連絡する~!』
そう言えば、今日は午後からとか言ってたっけ。だから遅くなるんだろうな。天然モノのチョコレートに興味を示してくれたようだし、良かった。
それにしても、今から明日が待ち遠しい。私、こんなに明日を待ち遠しいと思ったことなんてあったっけ?きっと、無かった。秀星くんが、私の心の中にいてくれるような気がして、こんなにも、嬉しい。こんなにも、あったかい。