第69章 作品解説
☆『心』
この回でヒロインが独り言として言ったことは、全て縢の耳に届いています。これは、数話後に明らかになりますが。縢は、嬉しいと同時に、やるせない気分になったことだと思います。なんで俺は、こんなに呪われた人生なんだろうと、絶望もしたかもしれません。皮肉なものですが、他人からの好意は時として、中途半端な悪意よりも、その心を蝕みます。縢は、強くて優しい子ですね。
裏話ですが、ヒロインは、色相が濁りにくいという設定です。これは、もしもヒロインが「色相が濁りやすい」という設定だった場合、一係と接触するのが困難になるばかりか、縢と恋愛など到底不可能になるという、ややメタ的な理由です。あと、「色相が濁りやすい」という設定だった場合、それについても描写しなければならなくなり、物語が不必要に複雑化するためです。とことんまでメタ的な理由です。これについては、賛否両論あるでしょうが、「ヒロインがどのようにして、色相をクリアカラーに保っているか」などの詳細が描写された夢小説を、果たして何人が読みたいでしょうか……。「秀星くんといるために、毎日サプリメントを4種類と、医師から処方された薬品を3種類、欠かさず服用しています!」とか書かれているのを読んだら、ほぼすべての読者が、「そんな不健康な……。別れたら……?」と感想を漏らすのではないかと思われます(笑)。まぁ、その辺のことには全く触れなくても良かったのですが、何となく。