第69章 作品解説
☆『願い』
若干、前話よりも月日を流しています。ヒロインにも後輩ができたという……。いや、ヒロイン自身がエリートでも何でもないので、新田自身は、ヒロインを先輩とは思っていませんが。ただ、勤続年数が自分よりも上で、自分は仕事について何も分からないから、取り敢えず波風を立てないようにしている、というだけです。これも、本編には何の関係性もありませんが、新田は、『潜在犯』のことを軽蔑しています。態度がよそよそしいのはそのためです。ただ、新田さん自身は出世したいので、仕方なく『潜在犯』と関わっているだけです。ちなみに、狡噛も縢も、そういった新田の本性に、気付いています。「ありがとうございました。参考になりました。でも、狡噛さんって本当に博識ですね。すごいなぁ……って、いつも思います。」と、ヒロインが狡噛を褒めそやしますが、それに対して狡噛は、「俺にお上手言ったところで、何も出てこないぜ。安っぽい世辞でも、言う相手は選んだ方が出世できる。何なら、自分の上司にでも言った方が、自分の身が安泰だぞ。まぁ、アンタに出世意欲があるのなら、だが。」と、素っ気なく返します。表面的に見れば、狡噛はヒロインに対して普通に返事をしているように見えますが、その実、新田に対する嫌味です。最後の一言は、確実に、新田に対して言っています。ヒロインは、全く気付いていませんが。続く、縢の「アハハ、まぁ、俺ら『執行官』に言っても、何のメリットも無いからね~。新田ちゃんだっけ?新田ちゃんも、気ィつけなよ。」というセリフも、一見すればヒロインを気遣うセリフのようにも取れますが、実際はヒロインに向けてはなったものではありません。縢謹製の、嫌味です。「えっ?!」という新田の反応は、心の内を読まれたかもしれないという、焦りが思わず口から出たものです。