第63章 『監視官』
「あ、えっと……。私、管財課職員の、月島悠里といいます。去年から、刑事課の備品や設備の管理担当として、ちょくちょく出入りさせてもらっています。あと、嘱託として管財課職員をやらせてもらっているだけですから。」
「そゆこと。で!朱ちゃん的には、さっきのモノマネどうだった?」
秀星くんは、カラカラと笑いながら、さっきのモノマネの出来について、常守監視官に尋ねている。常守監視官は、「えっと……、それは……。」と、口をモゴモゴさせている。そりゃあ、常守監視官の立場としては答えづらい問いだろう……。
「ま、また何かモノマネやるから、そん時は率直な感想聞かせてよ。」
言いながら、秀星くんはやっと眼鏡を外した。どこから出してきた眼鏡なのか、私ンはよく分からなかったが、眼鏡姿の秀星くんも、なかなかカッコ可愛いっていうか……!…………イイ!!!
モニターの搬入は、予定通りすぐに終わった。常守監視官は、監視官の仕事を始めて間もないらしいにもかかわらず、手際よく仕事を終えた。さすが、国内有数の超エリート。私とは、頭の出来からして違うのだろう。
「あ、この間搬入させていただいた機材の運用状況を確認したいので、トレーニングルームに立ち入らせていただいてもよろしいですか?」
私は、ひとつ仕事を忘れていたのを思い出した。
「あ、いいですよ。それでは、私も同行しますね。」
常守監視官は、私に向かって、にこりと微笑んだ。やはり、あどけなさの残る顔立ちと、その雰囲気。女性で監視官といえば、二係の青柳監視官しか知らなかった私にとって、この目の前にいる、私よりも年下の少女が監視官ということは、何とも不思議な感覚だ。