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シャングリラ  【サイコパスR18】

第62章 暗転 後編



 リビングに行って、ほんの数時間前に、秀星くんと一緒にやっていた対戦パズルゲームを起動させて、遊んでみる。最初は、適当に夢中になれたけど、すぐに飽きてきた。私は、そのままゲーム機の電源を切った。喉が渇いてきたので、ポットのお湯を貰うことにした。お茶まで貰うのは気が引けたので、マグカップにお湯を入れて、そのまま飲むことにした。シンプルな味だけど、これはこれで、体が温まる。気が付けば、夜は随分冷える季節になっていた。秀星くんと過ごしていると、時々はあわただしかったり、時々はゆっくりとした時間が流れたり、感情が大きく動いたり、穏やかな気持ちになったり……。とにかく、時間の流れなんて気にしていられないぐらい、濃密な時間を過ごしてきた。気が付けば、秀星くんと出逢ってから、1年が過ぎようとしていた。そう言えば、秀星くんの部屋で、こうして私がひとりで過ごすことは、初めてだ。いつも、秀星くんが私の近くにいてくれて、笑ったり、時には泣いたり……。この1年は、随分といろんなことがあった気がする。お世辞にも優秀とは言えない私。そんな私の人生の中で、これほどまでに自分の感情が大きく動いた1年は、他に無かったと思う。それで私が成長できているのかは正直謎だけど、今までとは別の世界を見せてくれた秀星くんの存在は、私にとって何物にも代えがたいものとなっている。

「ふぅ……。」
 私は、白湯(さゆ)を飲み終えて、静かに息を吐いた。

 あまり辛気臭くなるのも嫌だったから、なんとなくテレビをつけてみたけれど、これといって観たい番組も見当たらず、ほどなくしてテレビは消した。眠れない。眠らない。そう思っていたけれど、私の瞼は、自然に下りていたらしい。







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