第62章 暗転 後編
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秀星くんが出て行って、一気に温度が下がったみたいなこの部屋。まるで、さっきまで私が感じていた、温かな体温も、全て幻だったみたいだ。
でも、私はまだ浮かれた下着姿のままで。
「……馬鹿みたい。」
ドローンが、洗濯物の処理を終えたらしい。私は浮かれた下着を脱いで、着てきた服に袖を通した。
いや、むしろ多分、今まで私がお部屋にお邪魔した時に、何も無かったこととの方が、本当は不思議なぐらいなのだろう。
あの様子だと、しばらく秀星くんがこのお部屋に戻ってくることはないのだろう。秀星くんの言った通り、適当に寝て朝を迎えるのが良いのかもしれない。でも、なんとなくそんな気にはならない。試しに、さっきまで私と秀星くんが一緒に過ごしていたベッドにひとりで横になってみても、眠気は一向に感じない。えっちなことをしたからなのか、それを途中で中断してしまったからなのか、妙に目が冴えて、眠れないのだ。いっそ、眠れないのなら、別のことをして、時間を潰そう……私はそう考えた。