第61章 暗転 前編
秀星くんが私と反対方向を向いたのを確認してから、一旦ベッドから降りた。そして、着ていたパジャマを脱いだ。
「……。笑わないって、約束する?」
「そんな、俺を笑い死にさせられるぐらいのネタ仕込んできてんの?」
「……!じ、じゃあもう、見せない!もうちょっと向こう向いてて!」
何だか、秀星くんの言葉で、一気に恥ずかしくなってきたし……!バカな考えは捨てて、もう一度服を着よう。
「ちょ、そんなに言われたら気になるじゃ……!」
「ぎゃあっ!?」
秀星くんは、がばりと起き上がって、勢いよくこちらへと身体を向けた。その瞬間、言葉も視線も、止まってしまった。
「あ……。」
「しゅ、しゅう、せい、くん……。な……。」
秀星くんは、固まっている。何でこっち見たの……!?
「あ、悠里ちゃん、それ……。」
秀星くんは、私をじっと見続けながら、口を開いた。
「……ッ!も、もう!嫌!オカシイの分かってるから!私、イタいでしょ!?」
「いや、何ていうか、それ……。」
「放っておいて。」
私は、さっき脱いだばかりのパジャマを手に取った。
「あ~~~~~!待って、悠里ちゃん、ストップ!!」
「何?」
もういいです。一刻も早く、普通のパジャマに戻って、今のは無かったような流れに持っていきたいです。
私が秀星くんの言葉を無視して、パジャマに手を掛けたのと、秀星くんがベッドから降りて、私の手首を掴んだのは同時だった。
「な……!?」
「もっと、見せてよ、ソレ!……ってか、隠してたの、ソレだったのか~。」
秀星くんは、妙に上機嫌になりながら、私の下着姿を見つめている。……。そんな風にされたら、もうパジャマを着直そうなんて、思えなくなっちゃうじゃない……。