第61章 暗転 前編
「えぇ。ココに掲載されているのは、全てアダルト系商品……。下世話な言い方をすると、これらは全部エロ下着よ。」
「え、エロ……!?」
やっぱりか……!
「だって、普通おかしいでしょう?ブラなのにカップがこんなに小さいとか。これじゃあ体型は補正されないじゃない。」
先生は、さも当然と言った感じで、さらりと言ってのけた。
「でも、これらの下着の真の使い道は、別のところにある。例えばこれとかだったら……」
先生が、話し始めた瞬間、突然分析室の扉が開いた。
「ひゃっ!?」
「あ、弥生じゃない。」
入って来たのは、一係の六合塚さんだった。六合塚さんも、スタイルが良くて、とっても美人。先生とはベクトルの違う美人、って感じ。六合塚さんは、仕事でもほとんど話す機会が無いから、一係の中では私にとって1番よく分からない人だったりする。時々、秀星くんに鋭いツッコミを入れてるところを見たことが数回程度。全体の印象としては、クールだな、ぐらいのもの。
「……。どうしたの?この子。」
六合塚さんは、いつものポーカーフェースを崩さずに、私に視線を投げかけた。でも、何だろう……。いつもと比べると、微妙に温度があるような、ないような……?
「ちょっとしたガールズトークよ。」
「ふぅん。」
それっきり、六合塚さんは私には興味が無いといった感じで、先生の方へ向き直って、話をし始めた。私はもう、仕事が終わったわけだし、ここは邪魔にならないためにも、退室しよう。
「先生、今日もありがとうございました。じゃ、私はこれで失礼します。」
軽く会釈をして、私は分析室を出た。