第61章 暗転 前編
「えぇ。所謂『大人の玩具』ね。悠里ちゃんも、コレぐらいは知ってるでしょう?」
「え、えぇ……。まぁ……。」
私は、雑誌を直視しづらくて、目を泳がせながら曖昧な返事をした。
「まぁ、初心者にはハードル高いか。」
先生は、慣れた手つきでデバイスをフリックして、ページを何枚かめくった。
「んー……。刺激が欲しいなら、こういうのは?格好だけでも盛り上がるわよ。」
先生の指すページには、綺麗な女性が、バニーガール?みたいな露出度の高い服を着ていた。私、スタイルそんなに自信が……って、そこじゃない。なんか、綺麗な女性が、四つん這いになっている男性の背中を、細くて高いヒールで踏みつけながら、片手には鞭(ムチ)を持っている。写真の構図的に、男性の顔は全く見えないけど、コレだいぶ痛んじゃないだろうか。何なのコレ……。
「あれ?悠里ちゃん、やっぱりウブなのね~?わたし、そういうコ、嫌いじゃないわよ?ふふ……。」
先生は、蠱惑的な笑みを浮かべたけれど、これはどう返事をしたらいいのか……。
「い、いや……。秀星くんに、こういうことされる趣味は無いと思いますよ……。」
「あぁ。無ければ無いで、一から調教してやればいいのよ。まぁ、気に入らないなら、次ね。」
「は、はい……。」
今、サラッと凄い発言しなかっただろうか。まぁ、一々突っ込んでいても仕方ないか……。
先生は、どこかのページを探すようにして、また何度かフリックした。
「あ、コレは?まぁ、シュウくんは単純でお子ちゃま志向だから、喜ぶんじゃない?」
ん?今度は、微妙に秀星くんの悪口じゃなかっただろうか……?
「わ、わぁ……。」
先生の示すページには、カワイイ下着の数々。いや、一般的な「カワイイ」というよりは、所謂「エロカワイイ」って感じなんだろうけど。それでも、薄くて繊細なワンピース型の下着とか、フリルがいっぱいあしらわれた小さいパンツとか、そういうのはすごく可愛いと思った。あと、一体どこを隠してるのか分からない下着も幾らかあったけど、それは見なかったことにしよう。
「あれ、でも、このワンピース型のも、このブラとかのも……。なんか……?」
よく見ると、全て透けて見えるような……?写真の撮り方?