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シャングリラ  【サイコパスR18】

第60章 楽園




「……昨日は、ごめん。」
 しばらくしてから、突然秀星くんが再び口を開いた。
「いいよ、もう。」
 きっと、秀星くんには秀星くんの感情や想いがあって、その中で秀星くんは苦しんでいるんだろうと思う。
「なんで、訊かないの?」
 秀星くんは、私と目を合わせないままに、尋ねてきた。
「本当は、秀星くんが何を考えてるのかとか、本当のことを知りたいって思うけど、それは、私が追及して喋らせることじゃない気もするし……。だから、うん。いいかな、って。」
「……。」
 秀星くんの表情は、私からは見えない。

「……、……………………………そっか。」
 長い沈黙の後、秀星くんは、小さく呟いた。その声から、秀星くんの感情を読み取ることはできなかった、
「あー……、でも、いっこだけ。」
 私の声に、秀星くんは顔を上げた。その瞳は、真っ直ぐだった。

「できれば、次はもっと優しくしてくれた方が、私は嬉しいなー、なんて……」
「する。……あ、いや、その、そういう意味じゃなくって……あ、いや、そういう意味だけどさ……。じゃなくって、ソフトに、っていう意味で……!」
 秀星くんは、途中からわたわたとしながら、言葉を紡いだ。
「ぷ、ふふ……!分かってるよ、秀星くん……。」
 その姿に、私は安堵を覚えて、途中から笑ってしまった。
「わ、笑わなくてもいいじゃん……。」
 そう言って、秀星くんは、困ったように、そしてはにかむようにして笑った。

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