第59章 罪 後編
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……どれぐらい時間が経ったのか……。分からないけれど、気が付くと私のナカには、秀星くんのアソコは無かった。私は、ぐったりとなって、ソファーの上で横になっている。秀星くんは、裸同然の私に、大判のタオルケットを掛けてくれていた。でも、肝心の秀星くんの姿が見当たらない。
私は、身体に力を入れて起き上がろうとしたけど、全身がだるいだけじゃなく、下腹部が重く、痛かった。ついでに、腰も痛い。これでは、自力じゃとても起き上がれない。
「……ぁ、あ……。」
私の声は、掠れていた。
「あ、悠里、ちゃん……。」
秀星くんは、私の声に気が付いたのか、名前を呼んでくれた。
「……。」
それ以上の言葉もなく私を見下ろす秀星くんの顔は、「曇っている」を通り越して、ある種の悲壮感すら感じさせた。
「……、俺の、ベッド、使って、休んで……。」
秀星くんはそれだけ言うと、私が起き上がるのを手伝ってくれて、ベッドまで運ぼうとしてくれた。
私がソファーから離れた瞬間、私の眼に飛び込んできたのは、ソファーに付いている、不自然な赤。私が横になっていた箇所に、べったりと。綺麗なソファーに、くすんだ赤が、不自然に目立っている。それが、私の血であることは、すぐに理解できた。生理の予定日でも何でもないのに……。あぁ、激しくされたから、私のナカのどこかに、傷ができたのだと思う。
「……!あ……、血……。ごめんね、秀星くん……。」
「……。」
半ば反射的に謝った私に、秀星くんは何も返事をしてくれなかったけど、怒ってはいない……と思う。
私は、秀星くんの言葉通り、ベッドで休ませてもらうことにした。寝かせてもらう前に、秀星くんから着替えを借りた。秀星くんのベッドを汚さないためにも、本当はシャワーも浴びたかったけど、今それだけの余力は無いので、諦めた。また血が出ないとも限らないので、念のために生理用品を下着に付けてから横になった。