第58章 罪 前編
俺は、自分の唇で悠里ちゃんの唇に再び触れた。
最初は、そっと触れるように。でも、それだけじゃすぐに物足りなくなって、ディープなものになっていく。少ししか開いていなかった悠里ちゃんの唇に、俺自身の舌を滑り込ませて、悠里ちゃんの口を開かせる。そのまま悠里ちゃんの口内に舌を挿入させて、彼女の舌を絡めとった。悠里ちゃんは抵抗するかと思いきや、そんな素振りは全く見せず、俺にされるがままになっている。俺を受け入れてくれるということだろうか。
それでも、息が苦しくなってきたのだろうか。それとも、俺に感じてくれているのだろうか。悠里ちゃんの呼吸は、荒いものへと変わってきた。
「……っ、……はぁ……、はぁ……。」
俺の呼吸も、次第に荒くなって、悠里ちゃんのそれに重なる。
「ん……、もっと、していい……?」
悠里ちゃんは声を出す代わりに、微かに頷いた。
俺は、何度も角度を変えて、悠里ちゃんに深く口付けては、舌を絡めた。そのうちに、悠里ちゃんの口からどちらのものともつかない唾液が垂れて、悠里ちゃんの口元をいやらしく濡らした。
「……、はぁ……、はぁ……、……っ……。」
そのうちに、お互い息が続かなくなってきて、中断。俺よりも悠里ちゃんの方が苦しそうに肩で息をしていた。俺には、その光景がひどく扇情的に見えた。コグリ、と俺は無意識に生唾を飲み込んだ。それ以上のことをしたい。キスよりも先に進みたい。――――――俺の本能がそう訴えている。
……でも、それは、そこから先は、ダメだ。