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シャングリラ  【サイコパスR18】

第52章 ディストピア 後編


「あー……、つまり、“自由を制限する”ための檻じゃなくて、“隔離”のための檻ってことか。悪いとされているモノを遮断して、関わらせないようにするための檻――――――でも、それはシビュラの用意する“ゆりかご”でしょ。やっぱり、俺がいる場所と、悠里ちゃんがいる場所は、違う。……俺はどう足掻いたって『潜在犯』だし?」
 俺の口から、自嘲的な笑いが漏れた。

「―――――っ、ごめんね、秀星くん。」
 悠里ちゃんの声が強張っていたことに気付いて、俺は慌てて悠里ちゃんを見る。
「ぁ―――――、いや、ごめ――――――」
 悠里ちゃんの眼は、微かに赤かった。

「……、ごめん。悠里ちゃん。えっと……。」
「―――――ううん、いい。その代わり……、っていうわけじゃ、ないけど……。」

 悠里ちゃんは、ほんの少し頬を赤らめながら、自分の座っているソファーの、空いている部分を、ちょんちょんと控えめに指差した。
 俺は、悠里ちゃんに呼ばれるままに、悠里ちゃんの隣に腰を下ろした。

……。
 しばしの沈黙。それぐらい、今日は俺が打ち破ろう。
「ねぇ、悠里ちゃん。……、抱きしめて、いい?」
 俺は、悠里ちゃんの返事を待たずして、彼女の身体を強く抱きしめた。
 悠里ちゃんは、何も言わず、ただ俺に体重を預けてきてくれている。その重みが、これ以上ないくらいに心地良い。







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