• テキストサイズ

シャングリラ  【サイコパスR18】

第50章 御伽話 Ⅵ



 鈍い音がして、朝倉がベンチから崩れ落ちた。
「―――――狡噛、もう1度言う。幽霊を追いかけるのは、やめろ。」
 宜野座がドミネーターの引き金を絞り、パラライザーを撃ったのだ。

「ギノ―――――――――!」

 狡噛は、自らの内にに激しく渦巻く激情を押しとどめ、朝倉に駆け寄った。
(幸い、朝倉に適用されたのはパラライザーだ。この場で話が聴けなくとも、公安局に戻れば、取り調べができる……!)

「……あ゛、ぎィ――――――!?」
 しかし、崩れた朝倉は、パラライザーで撃たれた人間の様子ではなかった。
「あ……!?」
 狡噛は、思わず驚きの声を上げた。その声に反応して、縢も朝倉に駆け寄った。

「……何……、どゆこと……?」
 縢の目に映った朝倉は、どこからどう見ても遺体だった。
 朝倉は、仰向けになって倒れている。しかし、目は開いたまま瞳孔が動かず、その眼球は上転している。口はだらしなく開かれ、口の端からは泡が出ている。失禁したらしく、下半身は尿で汚れている。
 狡噛が急いで脈を取ったが、既に心臓は停止していた。当然、呼吸も止まっていた。

「救急だ!医療機関への搬送を急いでくれ!」
 狡噛が叫び、宜野座も迅速な対応に手を尽くした。
 朝倉は、あっという間に医療機関に搬送されたが、既に帰らぬ人となっていた。




/ 591ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp