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シャングリラ  【サイコパスR18】

第48章 御伽話 Ⅳ


 胸の中に、イライラや嫉妬が募っていく毎日。その頃から、朝倉の色相は徐々に濁っていった。仕事をしていても、休日にのんびりと過ごしていても、ふいに朝倉の脳内に過(よぎ)るのは、真鍋の顔―――――表面上はイイコを気取りつつも、その内面では朝倉をバカにしていた真鍋の、不遜な顔だった。その度に、イライラと嫉妬が、朝倉の胸を支配する。ゆるやかな下り坂を転げていくように悪化していく、朝倉の色相。このまま『潜在犯』になってしまうのではないかという恐怖が、そこに加わる。どうせ、『潜在犯』になってしまうのなら、ほんの少しぐらい、真鍋に対して仕返しがしたい――――――朝倉は、漠然とそんなことを考えていた。しかし、仕返しも何も、それまでそのような感情にとらわれたことのない朝倉には、具体的な考えなどそう浮かばないままに、日々を過ごしていた。――――――1週間前の、あの日を迎えるまでは。






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