第47章 御伽話 Ⅲ
『な、何コレ……。ここのカメラだけ……、潰されて……。いいえ。監視官。』
「どうした、唐之杜。」
『勝手口を出てすぐのところと、そこから園の外へ通じる通路の2か所に、監視カメラがあるはずなんだけど、どっちのカメラも、ダメ。ごめんなさい。……単純に、画像検索だけを実行していたから気が付かなかったわ。でも、間違いない。そこのカメラは、両方とも“意図的に”潰されてるのよ。映像としては、過去1週間分の監視カメラの映像を貰っているはずなのに、そこ2台のカメラからの映像のうち、今日付けの映像だけが無いの。』
「因みに、今は?」
六合塚が、勝手口のドアノブを回し、すぐに近くに備え付けられている監視カメラを確認する。
『ちょっと待って。……、ええ。今、ここからでも弥生が映っているのが見えるわ。』
「いつからいつまで、この監視カメラが潰されていたのか、分かるか?」
『……ちょっと待ってね。……、……。本日0時……、日付が変わってから午前9時頃までね。その時間の映像だけが、すっぽりと無いわ。はー……。してやられたわ。』
狡噛の問いかけに、唐之杜が気怠そうに答えた。
その後、鑑識ドローンが勝手口から園の外へと通じる通路まで、新たに捜索したものの、限られた時間とドローンの台数では、成果を上げることができなかった。