第46章 御伽話 Ⅱ
「ぐ……。では、色相を測定させていただきます。」
忌々しそうに、宜野座がドローンから色相検査機を取り出した。園長を含め、4人の色相判定が行われた。朝倉と瀬戸は完全にとはいかないもののほぼクリアカラー、本田と沢口が濁り気味だった。この中で、この測定結果で、最も色相が濁っているのは沢口、最もクリアカラーに近いのが瀬戸、という結果に終わった。
「刑事さんたち。もう、20分以上経つんですけど、私たち仕事に戻っていいですか?次のイベントが始まってしまいますし。」
朝倉が、デバイスのコス機能を起動させながら、出口に向かって足を進めた。
「朝倉先輩……。あ、僕も行きます。」
沢口も、朝倉の後に続いた。
「……待って、ください……。」
瀬戸は、2人を追うようにして、退出してしまった。
あわただしい様子で、3人はそれぞれ仕事へと戻っていった。
「おい、唐之杜。「上」から、ドミネーターの使用許可は下りないのか?」
3人が去っていったところで、宜野座は唐之杜と通信を始めた。
『コッチから申請は送ったけど、ダメみたいね。まぁ、ソコは「官営」テーマパーク。これ以上騒ぎを大きくせずに、事件を迷宮入りさせたいんじゃない?刑事課を派遣したのは、まぁ……、一応捜査はしましたよっていう既成事実を作りたいだけなんでしょうし。』
無論、唐之杜のこの回答は、本田には聞こえないよう刑事課のデバイスを通して送信されている。唐之杜からの言葉を聞いて、縢と六合塚は、ドミネーターをドローンに戻した。
「ぐっ……。」
宜野座は、ギリリと奥歯を鳴らした。
「監視官。それでも俺たちがやるべきことは、犯人逮捕だろう。余計なことを考えるな。今持っている情報を整理して、少しでも真実に近づくことだろうがよ。」
征陸が、宜野座の肩にぽん、と手を置いた。宜野座は、反射的に征陸の手を払いのけた。
「分かっている!……クソ。ドミネーターが使えれば、こんな事件すぐに解決するものを……!」
宜野座は、心から忌々しそうである。征陸は、そんな宜野座の様子を、やれやれといった様子で見ている。