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シャングリラ  【サイコパスR18】

第46章 御伽話 Ⅱ


「同じく、さ……、沢口、誠也……、です。」
 ホロを解除した瞬間、まるで生きた心地がしないといった顔があらわになった。顔面蒼白、そんな表現がしっくりくるような顔色だ。唇は、何もしゃべっていないときでさえ、微かに動いている。
「同じく、瀬戸祐樹です。えっと……、よろしくお願いします……。」
 最年少らしく、他の2人に比べると、顔の造作が幼い印象を与える。しかし、その顔は不安でいっぱいといった様子だ。

「早速ですが、今朝この園で遺体が発見されたことはご存知ですね。それで、今から皆さんにドミネーターによる犯罪係数の測定にご協力いただきたいと思います。シビュラシステムが、即座に貴方がたの犯罪係数を測定します。」
「え……?」
「は……?」
「ど、ドミネーター?」
 3人は、衝撃を隠せないといったリアクションだ。縢と六合塚は、宜野座に合わせるようにして、ドローンからポンプアップされたドミネーターの銃把を握り、起動させる。
「ちょ、本田園長……、聞いてないわよ……!?」
 その中でに口を開いたのは、3人の中では最年長の朝倉だった。
「そ、そうですよ……!と、唐突過ぎます!」
 それに続くように、沢口が声をあげる。

「え、ええ。ですが、ご安心してください、職員の皆さん。ドミネーターによる犯罪係数の測定は、任意ですから。つまり、拒否することもできますから……!」
「園長……!?」
 本田の発言に、宜野座が驚きの声をあげる。宜野座は、いつの間に戻って来たのか、とすら思った。
「たった今、私が「上」に確認してまいりました。ドミネーターによる犯罪係数の測定は、あくまでも任意です。捜査に協力するかどうかは、あくまでも職員の皆様、個々の意志で行ってください。」
「ちょ、それじゃあ……。」
 縢は、それでは捜査にならない、と言おうとしたが、狡噛によって制された。縢は納得いかないまま、口を噤(つぐ)んだ。

「そうですよね、園長。……では私は、犯罪係数の測定、お断り致します。」
「先輩……。……ぼ、僕もです。僕も、拒否します。」
 朝倉に続き、沢口も犯罪係数の測定を拒否した。
「あ、先輩、方……。」
 瀬戸は、ただ困惑している。

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