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シャングリラ  【サイコパスR18】

第46章 御伽話 Ⅱ



「まぁ、落ち着け、ギノ。捜査の手段が全て断たれたワケじゃない。」
 狡噛が、ゆっくりと本田を見据えた。
 本田は、狡噛の視線に一瞬怯んだが、それを表面に出さぬよう取り繕った。

「まず、園長と瀬戸祐樹は、ここ1年間で色相が基本的に安定している。それは、事件直後である今でもそうだ。まぁ、多少の濁りはあるが、これは事件があったということに対する正常な心的反応だろう。」
 狡噛は、色相の結果を一覧表にまとめ、それをホロ展開させながら話す。
「それに対して、朝倉と沢口は、色相が安定していない。朝倉は6か月前から一定して色相が濁っているが、さっきの測定ではほぼクリアカラー。沢口は、6か月前に一旦色相が濁ったものの持ち直している。そしてさっきの結果ではやはり再び濁っている。」
「それが、どうしたんだ……?」
 宜野座は、何が言いたいのか分からない、という具合だ。
「沢口の色相が濁ったのは、先程の2人と同じで、事件に対する正常な心的反応としてみることができます。けれど、朝倉瑠璃だけは、事件があったにもかかわらず、色相はむしろ好転している。」
 六合塚が、一覧表を見ながら呟く。
「それに、さっきの男2人の態度。何か引っかかりません?アレ、絶対何か知ってる感じじゃん?特に、沢口の方。顔に血の気ゼロ。あんなん、何か知ってます~って言ってるようなモンじゃん。」
 縢も、自分なりの所感を述べる。
「……、また、お前らお得意の「刑事の勘」か?いい加減なことを口にするな!……だが、今回は他に情報も無い……。」
 宜野座は、悔しそうに口元を歪めている。
「園長、閉園後にもう一度、職員と話をすることはできませんか?」
 宜野座はふう、と息を吐き、本田へと視線を送る。
「ええ。構いません。ただし、ドミネーターによる計測は職員個々の意志に任せますし、あまり遅くならないようにご配慮願いますよ。」
 本田は、すっかりと落ち着きを取り戻しながら、そう返答した。



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