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シャングリラ  【サイコパスR18】

第45章 御伽話 Ⅰ








「あ……、はぁ……、はぁ……。すみません。取り乱してしまって。」
 本田が、やっと少し落ち着いたところで、狡噛が見計らったかのように口を開いた。
「今からこの園を封鎖して、客の出入りを止めることは不可能だと言ったな。それでも、殺人が起こったんだ。犯人を見つけ出すのが俺たちの仕事だ。アンタにも協力してもらう。」
「は、はい……。」
 本田はベンチに腰掛けているが、その膝の上の拳は恐怖でわなわなと震えている。
「それより本田園長、朝から今まで、何人の市民が出入りしているんですか?」
 宜野座が、怜悧(れいり)な視線を本田に向ける。
「よ、4181名になります……。まだお昼なので、出て行った方はほとんどいません……。この人数ですが、今も増えています。今日は休日ですし、これから夕方にかけては、夜間パレードに向けて、人が増える見込みです……。それに、家族連れのお客様なんかは、夕方にもなると帰られてしまいます……。」
 本田は、懐からデバイスを取り出し、操作しながら回答した。
「4181名か……。その中から犯人を捜すというのは、困難を極めるな。それに、時間帯によって客が帰るとなると、それこそ犯人を探し当てるのが困難になってしまう……。」
 宜野座が、顎に手を当てながら、顔を顰(しか)めた。

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