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シャングリラ  【サイコパスR18】

第41章 溺れる夜



「……あと、さ。……いっこ、いい?……、今更で狡いけど……、それでも俺、悠里ちゃんに謝らないと……。」
 私は抱き寄せられながら、秀星くんとベッドの中。
「何……?」
 秀星くんが、私に?何だろう……。
「あー……。ホラ、冬にさ。俺がまぁまぁ怪我して入院したあと、来てくれた日のこと、覚えてる?」
 退院した後?ああ……、確かその日も「料理」をご馳走になって、お泊まりしたはず。それが、どうしたんだろう……。
「あの日、俺が寝た後……、悠里ちゃん、俺に言ってたこと……、覚えてる?」
 秀星くんが、寝た後?私が、秀星くんに……?秀星くんに言われて、少し遠い記憶を辿る。


…………
……………………
………………………………
………………………………………あ。


『……秀星くん、好き。……私は、自分が可愛いだけの狡い人間だけど……、秀星くんに「好き」って言ってもらえるの……、うれしい……。』
『でも……、最近……、しゅ、秀星くんが……、ね、』
『あんまり、……あんまり、私にさわって……、くれない、から……、……少し、さみしい……の……。』

 自分は口にした言葉が、頭の中でまざまざと蘇ってくる。いや、待って。ちょっと、いや、これは、その、あまりにもあんまりな内容だったから、到底起きている秀星くんには言えない内容だったから、寝ている秀星くんに呟いたような……!?まさか、起きてた?
「え、あ、いや……!」
 一気に自分の頬が紅潮していくのが分かる。これは、完全な不意打ち。

「ちょ、そんな震えなくていいって。」
 あぁ、そっか。躰が触れあってるから、そんなことまで伝わるのか……。って、感心してる場合じゃない!
「あ……、ごめん、なさ……!アレは、その……!」
「いいから、俺の話、きいて。」
「う、うん……。」
 優しく背中を撫でられてしまえば、もう何も言えなくなってしまう。
「アレ、聴いたとき、俺どうしたらいいか、わかんなくなってさ。でも、俺、スゲー嬉しかった。それだけ。」
「あ……。」
「聞こえないフリしてた。だから、ゴメン。」
「い、いい……。もう、いいよ……。」
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