第40章 ふたり
『秀星くんへ
メールありがとう!
秀星くんの料理、とってもおいしいから、
すごく楽しみ!
じゃあ、明日の18時
いつも通り秀星くんのお部屋でいい?』
滅茶苦茶な思考回路で打ったメールは、いつも通り簡潔な文面だった。ほどなくして秀星くんから届いたメールは、短く『んじゃ、決まり!待ってるね~!』だった。
帰宅してからも、私の頭の中はあまり落ち着かずに、秀星くんのことばかりが浮かぶ。別のことを考えるべく、適当にネットの人気コンテンツで遊んでも、試供品で貰ったバイオハーブティーを飲んでみても、ふとした瞬間に秀星くんがよぎる。気分を変えてお風呂に行ったけど、効果が無いどころか、秀星くんに触れてもらった場所を自分でなぞって、切なくなってしまう始末だった。――――――もう、私はどうしたらいいんだろう。これでいて色相が濁っていないというのだから、不思議で仕方がない。それとも、私みたいな無力な人間は、仮に色相が濁ったとしても、この社会に影響を及ぼせるようなことなんて何もできないということだろうか。いや、考えても何にもならないことは、考えないでおこう。そんなことよりも、明日のことだ。
秀星くん……、私もう、我慢できない……。もう、自分の気持ちを押しとどめていられる自信が無い。こんなことなら、もういっそ秀星くんにバレて、嫌われでも何でもした方が楽になれるかもしれない。そんな考えすらも浮かび始めた。いや、でも、嫌われるのは怖い。耐えられるかも分からない。多分、耐えられない。
明日、私はどうなるんだろう……。自分のことなのに、こんなにも分からない。