第40章 ふたり
お昼休み、自分の端末にメールが届いているのに気が付いた。
「……。」
やはりというべきか、秀星くんからだった。昨日のことがあるからか、素直に喜べない私がいる。でも、嬉しくて仕方ない。
『悠里ちゃんへ
明日の仕事終わり、空いてる?
材料がやっと手に入ったから、
ちょっと変わったモン、ご馳走できるよ~!
何かは、見てのお楽しみってコトで!
返事待ってるね~!』
若干、テンションが高い気がするけど、問題はそこじゃない。秀星くんから、お部屋へのお誘いメールが来たということだ。
どうしよう……とか悩んでみたところで、答えなんて決まっている。私は、赦される限り、秀星くんに会いに行くって、決めているんだから。
自然な感じで……、いつも通りに会いに行けば、いいだけの話だよね。明日は、山田さんがまた出張でいない。だから、私はほぼ確実に定時で上がれる。秀星くんに会える。それだけで、こんなに高まる鼓動、情動。でも、私は思い知らされている。もう、秀星くんは私には触ってくれないって。それでも、私はまだ、どこかで秀星くんがまた私に触れてくれるんじゃないのかって、微かに期待している事に。―――――秀星くんと会えれば、話せれば―――――いや、顔が見られれば幸せだとか、そう思おうとしたけど、そんなのは……どうやら私には無理みたい。秀星くんが欲しくて、欲しくて、たまらない。欲深くて、浅ましい私。こんな私を、秀星くんが知ってしまったら、どう思うだろう……。いや、これだって、もう何十回も自分の中で繰り返した問い。私一人で答えを探せば探すほどに、自己嫌悪に陥るだけの、問い。でも、秀星くんに答えを求めるだけの勇気なんて全く無いのも変わらない。私は袋小路の中だ。秀星くんに、会いたい。会いたくない。あーあ、会いたい。