第34章 『猟犬』 Ⅳ
「ひ、あ、ァ、あ、あく、悪魔だ―――――――うぁァァァァぁぁァ!!!!!」
ネイルガンを投げ捨て、手塚は全力で駆けだした。そうはさせない。縢は、渾身の力で手塚と距離を詰め、自らの手にあるネイルガンを、思い切り投げ飛ばした。縢が投げたネイルガンは、全力で逃走していた手塚の後頭部に見事クリーンヒットし、手塚はそのまま地面に倒れた。縢は、怪我の痛みに耐えながら、手塚に馬乗りになった。ホルスターから手錠を取り出し、そのまま手塚の腕を拘束した。
「―――――ッは、馬鹿野郎。……、『猟犬』から逃げようとか、無理に決まってんじゃん……!」
縢の口角は、自然と吊り上がっていた。その口元からは、歯が覗いている。
「ぁ―――――、ぅ……」
手塚は、そのまま意識を手放した。
「ったく、手間掛けさせやがって。」
縢は、痛みに耐えながら、ふらりと立ち上がった。
――――――カチャ
先ほど、縢がネイルガンを撃ち込んだ相手2人のうちの1人が目を覚まし、縢へと静かに銃口を向けた。その銃口は、縢の後頭部へと向けられていた。