第32章 『猟犬』 Ⅱ
俺とコウちゃんは、再び移動を開始する。数分と経たないうちに、倉庫が見えてきた。海風で錆び付いた倉庫。そこで目にしたのは―――――――
「―――――っ!?何コレ!?」
「ドローン……、か―――――?」
俺とコウちゃんの目の前には、破壊されたドローンらしきもの。ここまで破壊されていれば、恐らくは普段からドローンをよく知っている人間でなければ、すぐにそれとは分からないだろう。それぐらいに、ドローンは破壊されていた。よく見ると、残骸に、「POLICE」の文字の一部が見て取れた。公安局の巡査ドローンで間違いない。
コウちゃんは残骸の近くにしゃがんで、破片を手でどかし始めた。
「――――――あったぜ、縢。釘だ。」
コウちゃんが指でつまみあげたものは、釘だった。それも、この間俺を撃った釘とは一回りか二回りか……或いはそれ以上に大きくて太い、釘。それだって、1本や2本じゃない。残骸をもう少しどけただけで、同じ釘が十数本も出てきた。
「そりゃあ、ドローンも、負けるワケだ。」
「しかも、巡査ドローンが認識できない場所から撃ったんだろうな。」
「……だね。」
「志恩、聞いてたな?この辺りに、ドローンの反応は?」
執行官デバイスに、釘を写しながら、コウちゃんが口を開いた。
『……それが、あるのよ。きちんと動いてるのが1台。ちょうど、西に300メートルほど進んだところに……。でも、ここから移動命令を送ってるのに、相変わらず言うことを聞かないの。一体どういうことよ……?』
「さぁな。まだ分からない。だが、反応をキャッチしてるんなら話は早い。俺たちが行って調べればいい。いくぞ、縢。」
「OK、コウちゃん!」