第32章 『猟犬』 Ⅱ
「電波状況良し、ドミネーターも使える。ということは、ここはオフライン環境じゃない。オンラインだ。付近に、通信妨害電波は検出されてないな?」
『待って。……うん、それは大丈夫。ここから分かる限りでは、そんな電波は検出されてないわ。』
「……まだ決定打に欠けるが、この事件、何かカラクリがあることは確実だな。幸い、ドミネーターは問題なく使えるんだ。」
『ちょ、慎也くん……?』
「ドローンの援護が無くても、俺たちだけで捜査を進める。いいな、縢。」
コウちゃんは、俺を見て不敵に笑っている。
「あったりまえじゃん。それに、急がないと本当に犯人が逃げるかもだし?それじゃあ『猟犬』の名が廃るってモンでしょ!」
『……、はぁ……。……2人とも、無理はしちゃダメよ?わたしもできる限りのバックアップはするから、何か異変があれば、すぐに教えて頂戴。絶対に無理はしないで!』
「あぁ。」「了解。」
ボケた写真に、言うことを聞かないドローン。妙な点の多い事件だ。